歩くときのふらつき・バランスの崩れ
多くの患者さんで、「歩行時のふらつき」が最初に気づかれる症状です。「雲の上を歩いているようにふわふわする」「立ち止まったり方向を変えたりするとよろめく」「自転車が以前よりふらついて乗りにくくなった」「階段の上り下りが怖く感じる」といった訴えで気づかれることがよくあります。
数か月から数年かけてこの歩行の不安定さが進み、そこに手元のふらつき(字が書きにくい・箸が使いづらいなど)や、話しづらさが重なっていくことが多いです。なお多系統萎縮症では、約3割弱の方で、歩行のふらつきに先立って頻尿・尿失禁などの排尿障害や、立ちくらみ(起立性低血圧)が現れることがあります。
ろれつが回りにくい・話しづらい
初期には、一言一言がはっきりしない、お酒に酔ったような話し方になる、といった変化が見られます。ご本人よりも先に、電話で「聞き返される」ことが増えて気づく、というケースも少なくありません。進行すると、言葉が途切れ途切れになったり、急に大きな声になったりすることもあります。
手先の細かい作業のしにくさ・字の乱れ
歩行の不安定さが進むのと前後して、字を書く・箸を使うといった細かい手の動きがしにくくなることも、初期に気づかれやすい変化のひとつです。
疲れやすさ・その他の初期の自覚
「疲れやすさ」も、初期症状・随伴症状として十分にありうる訴えです。長く病気とつきあっている患者さんへのアンケートでも、「最も困っている症状」の上位に挙げられています。下肢がつっぱりやすいタイプでは、「歩くと両足がつっぱってすぐ疲れてしまう」という形で、早い段階から自覚されることがあります。
認知機能への影響は、型によって大きく異なります
「もの忘れが増えた」「認知症では」というご心配の声もありますが、認知機能への影響の出方は病型によって大きく異なるため、一括りにはできません。多系統萎縮症では、発症から3年以内に認知症が現れることは通常なく、むしろその場合は他の病気を疑う目安のひとつとされています。皮質性小脳萎縮症でも、初期から知能の低下がみられることは通常ありません。一方で、一部の遺伝性のタイプ(40歳以上で発症する歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症〈DRPLA〉や、SCA17という型など)では、初期から性格の変化や認知機能の障害が中心的な症状として現れることがあります。純粋に小脳の症状が中心となるタイプ(SCA6・SCA31など)では、全般的な知能や記憶力は良く保たれますが、物事を柔軟に考えたり、順序立てて判断したりする力(遂行機能)が、軽度に低下することはありえます。
このように、認知機能への影響の有無や程度は型によって大きく異なるため、心配な場合は自己判断をせず、医療機関でご相談ください。進行に伴って現れる症状については、脊髄小脳変性症の余命と進行で詳しくご紹介しています。
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