経過観察の他に治療法を探している方へ

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脊髄小脳変性症は治る確率がある?

脊髄小脳変性症の治る確率について説明する鍼灸師|院長 吉池 弘明

●更新 2026.07.28

脊髄小脳変性症は治る確率がある?40年の鍼治療でみえた「変化」の実際

脊髄小脳変性症は治る確率があるのか説明するイメージ

「治る確率はどれくらいだろう」「完治した人はいるのだろうか」——脊髄小脳変性症と診断され、あるいはご家族がそう診断されて、そう検索された方も多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、現在の医学で脊髄小脳変性症を完治させる治療法はありません。ですが、「何も変わらない」というわけでもありません。このページでは、完治についての正直な事実と、当院で確認されている「変化」の実際について、誠実にお伝えします。

  • まず正直に――「完治する」とは言えません

    なぜ「治る」と言い切れないのか

    脊髄小脳変性症は、小脳や脊髄の神経細胞が少しずつ働きを失っていく進行性の病気です。一度失われた神経細胞を元通りに再生させ、発症前の状態に完全に戻す治療法は、現在の医学では確立されていません。

    「治る確率◯%」という数字は存在しない、という事実

    そのため、「治る確率は何%です」というような数字も存在しません。ただし一つだけ例外があります。ビタミンE単独欠乏性運動失調症(AVED)という、非常にまれな遺伝性のタイプに限っては、早期に診断を受けたうえでビタミンEを大量に補充する治療によって、進行が完全に止まり、劇的な改善が見られることがあります。数あるタイプの中でもごく限られた、特殊な例です。ご自身の型がこれに該当するかどうかも含め、診断は医療機関でご確認ください。

  • 「完治した例」はあるのか――正直にお答えします

    「完治」と「改善・変化」は分けて考える

    「完治」という言葉を、発症前とまったく同じ状態に戻ることだと考えると、そのような例は確認されていません。一方で、「完治」とは別に、「症状に変化があった」「以前より動きやすくなった」という意味での改善は、これから詳しくご紹介するとおり、実際に起こりうるものです。この2つは、はっきり分けて考える必要があります。

    完全に元通りになった、という意味での完治例は確認されていない

    当院に限らず、医学的な資料の中にも、脊髄小脳変性症が発症前とまったく同じ状態へ完全に戻った、という意味での完治例は見当たりません。誠実にお伝えするために、この点をあいまいにせずお答えしています。

    ただし「変化があった」ケースはある(次章への橋)

    ただし、「完治」とは別の意味で、「変化があった」というケースは確認されています。次の章から、その医学的な背景と、当院での実際についてご紹介します。

  • でも「治らない=何をしても同じ」ではありません

    「進行を遅らせる/今の機能を活かす」という考え方

    完治はできなくても、進行のスピードそのものに働きかけられる可能性を示す報告がいくつかあります。たとえば、タルチレリン(セレジスト)という薬は、比較試験で運動失調の悪化の速さを抑える効果が確認されています。リハビリテーションを生活の中で継続することも、使わないことによる機能低下(廃用)を防ぎ、進行を遅らせることにつながると報告されています。このほか、間葉系幹細胞を使った治療や、ロボットスーツを使った歩行訓練などでも、進行が緩やかになったとする報告があります。「治す」ことはできなくても、進行の速さそのものに働きかける手段は、複数報告されているのです。

    完治と「変化・改善」は別のものとして捉える

    さらに、運動失調そのものが改善する、という報告もあります。海外でも国内でも、4週間にわたる集中的なリハビリテーション(協調運動トレーニング、あるいは入院での集中的な訓練)によって、運動失調の改善が報告されています。

    このような改善は、衰えた末梢の感覚を再び活発にする反復訓練によって、小脳のダメージを免れた部分や、大脳皮質・基底核などの他の脳領域が、代わりのネットワークを作り出す「脳の可塑性」によるものと考えられています。実際に、集中的なバランス訓練の前後で脳のMRI画像を比較した研究では、運動に関わる脳の領域(背側運動前野)の灰白質の体積が増加していたことも確認されています。小脳が変性していく病気であっても、こうした可塑性は引き出せることが、研究によって示されているのです。

    ただし、正直にお伝えしなければならないことがあります。これらの改善効果には持続の限界があり、上記の国内研究では、改善の程度は時間とともに徐々に小さくなり、24週の時点ではほぼ元の状態に近いところまで戻ってしまう傾向が報告されています。自宅での自主的なトレーニングを継続した方では、1年後も効果が保たれていたという報告もあり、「継続すること」が効果を保つ鍵になっていると考えられます。

    ※本文でご紹介したリハビリテーションの研究成果は、あくまでリハビリに関する報告であり、当院の鍼治療の効果を示すものではありません。リハビリと鍼治療との違いについては脊髄小脳変性症のリハビリで詳しくご紹介しています。

    「前半戦のうち」にできることの幅は広い

    〈ここに本文(院長資料待ち):「前半戦・後半戦」という当院独自の考え方は院長への確認が必要なため、確認後に執筆〉

    〈院長資料待ち:様子見からの転換ケース(匿名化)〉

  • 当院で確かめられた「変化」の実際

    SARAスコアで記録する「変化」

    当院で行っているのは、病気そのものを治す治療ではなく、体の状態を検査で可視化し、それに基づいて鍼治療とリハビリを組み合わせる、という取り組みです。その変化を記録する方法のひとつが、SARAスコアという評価尺度です。SARAは、歩行や姿勢、話し方、指先の動きなど8つの項目から運動失調の重症度を数値化する、信頼性が確認された評価尺度で、満点40点、点数が高いほど重症とされます(診断のための検査ではなく、状態を記録するための評価尺度です)。

    当院でワンクール(14回)の鍼治療とリハビリを行った方について、2020年〜2025年の198例(当院への通院が可能だった方の実績です)で確認したところ、約8割の方にSARAスコアで5〜8点の改善が確認されました。ただし、これは全員に同じ変化が起こるという意味ではなく、効果の現れ方には個人差があります。また、この変化は一度で終わるものではなく、継続して通院・リハビリを続けることが前提となります。

    〈院長資料待ち:SARAスコアの推移データ(型・年代別/匿名化・複数)〉

    サーモグラフィ等で見える体の状態の変化(可視化)

    サーモグラフィなどの機器を使って、自律神経の状態や血流など、体表面の温度分布を撮影し、体の状態を可視化することも、当院の検査の特徴です。これは診断のためではなく、施術の前後で体の状態がどのように変化したかを、目で見て確認するためのものです。検査の内容や料金については施術内容・料金でご紹介しています。

    〈院長資料待ち:サーモグラフィのビフォーアフター事例〉

    変化の現れ方には幅があります

    型によって現れる症状も、変化の出方も異なり、どなたにも同じように変化が起こるわけではありません。歩行のしやすさ、ふらつき、話しにくさなど、どこにどれだけ変化があったかは一人ひとり違います。実際にご来院いただいている患者様が、どのようなきっかけで来院し、どのような変化を感じられたかは、患者さんの声で詳しくご紹介しています。

  • なぜ「変化」が起こりうるのか――当院の考え方

    「動かせていない筋肉・機能」に働きかけるという発想

    小脳は、たとえ変性が進んでいても、残された神経細胞同士が新しくつながりを作り、失われた働きを補おうとする力(可塑性)を持っていることが、研究によって示されています。当院では、この力を引き出す土台として、鍼で衰えた筋肉に刺激を与え、その直後にリハビリを組み合わせることで、話しやすさやバランス感覚の変化につながることを、臨床の中で数多く経験してきました。

    病気そのものを治すのではなく、体の使える力を引き出す

    当院が大切にしているのは、「病気そのものを治す」のではなく、「まだ使える体の機能を引き出す」という考え方です。これはあくまで当院の臨床経験に基づく考え方です。鍼灸そのものについては、鍼刺激で脳の一部が反応するという予備的な報告や、自律神経症状に対する温灸の報告はありますが、医学的なエビデンスとして確立されているわけではないことも、正直にお伝えしておきます。

  • 「進行が緩やかだから」と様子を見ている方へ

    緩やかな型こそ、変化を積み重ねる時間がある

    進行のスピードは型によって差があり、比較的緩やかに進行するタイプもあります。型ごとの進行の違いについては脊髄小脳変性症の余命と進行で詳しくご紹介しています。進行が緩やかということは、裏を返せば、それだけ「今できること」に取り組める時間があるということでもあります。「進行は緩やかだから大丈夫」と様子を見ているうちに時間が過ぎてしまうのではなく、緩やかな時期だからこそ、体の機能に働きかける時間を積み重ねていただきたいと考えています。

    セレジストが合わない・飲めない方の選択肢として

    セレジストなどの薬が体質的に合わない、副作用で続けられないという方も少なくありません。標準治療の詳しい内容と、当院での選択肢もあわせてご検討ください。詳しくは脊髄小脳変性症の治療法・最新治療もあわせてご覧ください。

  • ご本人へ、ご家族へ

    ご本人が読んでくださっている場合

    遺伝性のタイプの場合、ご本人が病気について調べ、ご自身で治療先を探されているケースが多くあります。「完治はできない」という事実は変わりませんが、体の機能に働きかけることで変化を実感されている方がいらっしゃることも事実です。

    ご家族が読んでくださっている場合

    孤発性のタイプの場合は、ご家族が心配して情報を集めていらっしゃるケースが多いようです。ご本人にどう伝えればよいか悩まれる方も多いと思いますが、「治らない=何もできない」ではないということを、まずご家族が知っておいていただければと思います。

  • よくある質問

    脊髄小脳変性症は治りますか?

    現在の医学では、脊髄小脳変性症を完治させる治療法はありません。ただし、症状の進行を遅らせたり、運動失調そのものが改善したりする報告はあり、「何も変わらない」というわけではありません。

    完治する確率はありますか?

    「治る確率◯%」という数字は存在しません。ビタミンE単独欠乏性運動失調症(AVED)という非常にまれなタイプに限り、早期診断のうえでの治療により進行が止まる例外がありますが、多くのタイプには当てはまりません。

    完治した人はいますか?

    発症前とまったく同じ状態に戻ったという意味での完治例は確認されていません。ただし、症状に変化があった、動きやすくなったというケースはあります。詳しくは本文でご紹介しています。

    良くなる方法はありますか?

    集中的なリハビリテーションによって運動失調が改善したとする研究報告があります。標準治療については治療法・最新治療でも詳しくご紹介しています。

    進行を止めることはできますか?

    進行を完全に止める治療法はほとんどのタイプで確立されていませんが、進行を緩やかにできる可能性を示す報告はあります。型ごとの進行の違いについては余命と進行で詳しくご紹介しています。

    鍼治療で本当に変わるのですか?

    当院でもワンクール(14回)の鍼治療とリハビリを行った方について、SARAスコアなどで変化を記録しています。当院で記録している変化については本文でご説明しています。詳しくは患者さんの声もご覧ください。

  • 院長 吉池 弘明

    私が書きました

    院長 吉池 弘明

    脊髄小脳変性症の治療経験40年。

    医療用サーモグラフィを独自に導入し、のべ7万2000人の患者さんに鍼灸治療を行ってきた。

    サーモグラフィを用いた神経難病治療を専門に行い、自律神経・ストレス状態をデータから読み解き、患者様ひとりひとりに合わせた治療を提供している。

  • 参考文献

脊髄小脳変性症の鍼灸外来

お医者様とは違った角度から検査をして鍼治療に活かしています。

脊髄小脳変性症の治療に取り組む 長野県 森上針灸整骨院スタッフ集合写真

西洋医学的に治療法が確立されていないような難病や、保険医療で良くならなかった患者様、お薬の副作用でかえってお体を壊してしまった患者様を専門に治療する鍼灸整骨院です。お医者様とは違った角度から検査をして、鍼治療をしています。初診では十分な時間を取って患者様の問診をするので、お困りのことがあったらご相談ください。