経過観察の他にできることを探している方へ

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SCA6とは

SCA6について説明する鍼灸師|副院長 吉池 美奈子

●更新 2026.07.29

SCA6とは?症状・進行・遺伝と、できること

SCA6について説明するイメージ

数年前にSCA6と診断されたとき、主治医の先生から「進行はゆっくりですし、寿命への影響もそれほど心配しなくて大丈夫ですよ」と言われました。

その言葉に安心して、それから特に何もせず過ごしてきたのですが、最近ふらつきが少しずつ増えてきた気がして、このまま様子を見ているだけでいいのか、急に不安になっています。本当のところを、正直に教えていただけないでしょうか。

東京都 M.S.さん

「進行はゆっくり」「寿命への影響は少ない」というお話は、SCA6という型についてはおおむね正しいことです。まず、そのことについて正直にお伝えします。

ですが、進行が緩やかであることと、今このまま何もせず様子を見ていていいことは、必ずしも同じではありません。SCA6は日本の遺伝性の脊髄小脳変性症のなかでも頻度が高い型で、進行や症状の現れ方にはこの型ならではの特徴があります。このページでは、それを逃げずにお伝えしていきます。

副院長 吉池 美奈子

  • SCA6とは

    どんな型か

    SCA6(脊髄小脳失調症6型:Spinocerebellar Ataxia type 6)は、小脳の表面(皮質)を中心に神経の変化が起こる型です。他の型に比べて脳幹や末梢神経への影響が少なく、小脳の症状が中心となりやすいことから「純粋小脳型」と呼ばれることがあります。

    脊髄小脳変性症という大きな病気のグループのなかの、ひとつの型(サブタイプ)にあたります。脊髄小脳変性症全体については脊髄小脳変性症とはもあわせてご覧ください。

    日本で頻度が高い遺伝性の型のひとつ

    脊髄小脳変性症のうち、親から子へ遺伝する形式(常染色体優性遺伝)をとるタイプのなかで、SCA6は日本国内で2番目に頻度が高い型として報告されています(およそ18〜25%)。

    マシャド・ジョセフ病(SCA3)・SCA6・DRPLA・SCA31の4つの型で、日本の遺伝性の脊髄小脳変性症のおよそ7〜8割を占めるとされています。

    MRIで見られる特徴

    SCA6では、MRI検査で小脳の表面(皮質)や小脳の虫部と呼ばれる部分の萎縮がはっきりと見られる一方、脳幹の萎縮は軽いことが多いという特徴が報告されています。

    こうした画像の見え方の違いは、他の型(マシャド・ジョセフ病など)との見分けの手がかりとして医療機関で用いられる一般的な知識であり、当院での検査によって診断を行うものではありません。実際の診断は、必ず神経内科などの専門医療機関でお受けください。

  • 主な症状・特徴

    中心となる症状

    最初に現れる症状として最も多いのは、歩行時のふらつきやよろめきで、報告ではおよそ4分の3の方にみられるとされています。話し方の変化(構音障害)で始まる方や、めまい感・眼の症状で始まる方もいらっしゃいます。

    構音障害(呂律が回りにくくなる)は、経過のなかでほとんどの方に現れる症状とされています。

    純粋小脳型ならではの特徴

    SCA6に比較的特徴的な症状として、下を向いたときに眼が揺れる「下眼瞼向き垂直性眼振」や、頭を動かしたときに生じる回転性のめまい・景色がぐらぐらと揺れて見える症状(動揺視)が知られています。

    マシャド・ジョセフ病(SCA3)でみられる「びっくり眼」(眼瞼後退)や、進行性に目を動かす筋肉が麻痺していく症状は、SCA6では原則としてみられません。

    また、SCA6は病気の変化が小脳の表面(皮質)にとどまりやすいという特徴があり、手足の突っ張りなどの錐体路症状や、しびれなどの末梢神経の症状は乏しいとされています。

    一時的なめまい・ふらつきが強まることがある

    SCA6では、普段の症状とは別に、一時的にめまいや失調が強まる発作のような症状が、他の型と比べてやや多くみられることが報告されています。

  • 進行と経過——前半戦・後半戦

    前半戦:自分の足で歩ける時期

    当院で「前半戦」と呼んでいる時期は、自分の足で歩くことができる段階です。足を開いて歩く(ワイドベース歩行)ようになったり、長く話すとろれつが回りにくくなったりといった変化はありますが、日常生活の多くの部分をご自身でこなすことができます。

    後半戦:起き上がり・歩行が難しくなる時期

    「後半戦」は、自力での歩行が難しくなり、歩行器や杖、車椅子が必要になっていく時期です。進行するとベッドで過ごす時間が中心になり、移動に介助が必要になっていきます。

    進行のペースは病型や個人差によって大きく異なります。

    この型は、進行が比較的緩やかで発症年齢もやや高め

    SCA6は、他の型と比べて進行が比較的緩やかで、発症する年齢もやや高め(40〜60代が多いとされています)という特徴があります。具体的な年数をこのページでお伝えすることは控えますが、この「緩やかさ」こそが、この型と向き合ううえで最も知っておいていただきたいポイントです。

    病型ごとの余命・進行の速さについて詳しく知りたい方は、脊髄小脳変性症の余命と進行で詳しくご紹介しています。

    〈院長資料待ち:SCA6の前半戦・後半戦それぞれについて、院長が実際の臨床で見てきた状態像の実感、および「様子見から治療に切り替えた」実例(匿名化)〉

  • 原因と遺伝

    原因(遺伝子の変化)

    SCA6は、CACNA1Aという遺伝子の中にある、決まった塩基の並びが本来より長く繰り返される変化(リピート伸長)が原因で起こることがわかっています。正常な方でも4〜18回程度の繰り返しがありますが、20〜33回程度に伸びると発症するとされています。

    この繰り返しの伸び幅は、マシャド・ジョセフ病(SCA3)など他の型に比べて小さいため、世代を経ても大きく変わりにくく、SCA6では次の世代で発症年齢が早まる現象(表現促進現象)は原則としてみられません。

    遺伝形式(常染色体優性・顕性遺伝)

    この病気は、常染色体優性(顕性)遺伝という形式をとります。ご両親のどちらかがこの遺伝子の変化をお持ちの場合、性別に関わらずお子さんに受け継がれる可能性があります。

    似た名前の病気との関係(補足)

    SCA6の原因となるCACNA1A遺伝子は、同じ遺伝子の別の場所に変化が起こることで、発作性運動失調症2型や家族性片麻痺性片頭痛1型といった、親戚のような別の病気が起こることもわかっています。

    SCA6でめまいや一時的な失調が起こりやすいことにも、この遺伝子の性質が関係していると考えられています。SCA6自体は、あくまでめまい・ふらつきが中心のゆっくりと進む病気であるとお考えください。

    ご本人へ——遺伝性の型だからこそ

    SCA6は遺伝性の型のため、ご自身が発症された方は「子どもに遺伝するのではないか」という不安を抱えていらっしゃることが多くあります。

    遺伝子検査を受けるべきかどうか、ご家族にどう伝えるかといったことは、当院で判断できる領域ではなく、必ず遺伝カウンセリングを行っている医療機関にご相談いただきたい部分です。詳しくは脊髄小脳変性症は遺伝する?もあわせてご覧ください。

  • 治療と、様子を見ている方へ

    標準治療の概観

    現時点では、SCA6の神経変性そのものを止める治療法は確立されていません。運動失調に対する薬物療法(タルチレリンなど)や、症状ごとの対症療法、リハビリテーションが治療の中心になります。一時的なめまい・失調の強まりに対して、効果が報告されている薬剤もあります。

    このほか、新しい薬の治験(臨床試験)が国内外で進められている段階のものもあります。標準治療・新薬や治験の状況について詳しくは脊髄小脳変性症の治療法・最新治療でご紹介しています。

    「進行は緩やか」「寿命は通常と同じ」と言われた方へ

    SCA6は診察の場で「進行はゆっくりです」「寿命への影響は少ないです」と説明されることが多い型です。それ自体は医学的に誤りではありません。ですが、この説明が「だから今は何もしなくていい」という受け止め方につながってしまうことが、少なくないと感じています。

    体を動かさないことによる機能低下(廃用症候群)は、病気そのものの進行とは別に、活動量が減ることによって独立して上乗せされていきます。

    つまり「進行が緩やか」であることと、「今、体を動かさないでいい」ことは、まったく別の話です。「進行が緩やかだから、今は何もしなくていい」のではなく、「進行が緩やかだからこそ、今動いておく時間が長く残されている」というのが、実際のところだと私たちは考えています。

    お薬が合わない・効果を感じにくい方へ

    運動失調に対する薬物療法は、体質に合わなかったり、効果を感じにくかったりする方もいらっしゃいます。そのような場合にも、リハビリテーションなど、お薬以外にできることは残されています。変化が起こりうるのかどうかを知りたい方は、脊髄小脳変性症は治る確率がある?もあわせてご覧ください。

    〈院長資料待ち:SCA6で「進行は緩やかと言われて様子を見ていたが、来院して変化があった」実例、および薬が合わず治療を探して来院した実例(匿名化)〉

  • SCA6と鍼治療——当院ができること

    その時期(前半戦・後半戦)に合わせた働きかけ

    SCA6は進行が緩やかな型だからこそ、その時々の体の状態に合わせて、長く続けられる働きかけが大切だと考えています。

    当院では、医療用サーモグラフィを用いて全身の体温分布を撮影し、自律神経の状態や体の左右差などを客観的に可視化しながら、鍼治療とリハビリテーションを組み合わせてご提案しています。これは診断を行うものではなく、あくまで今の体の状態を見える形にするための検査です。

    他の鍼灸院と当院はどう違うか

    SCA6を含む脊髄小脳変性症は、鍼灸院によって経験の差が大きい分野です。当院は40年にわたり脊髄小脳変性症の患者様を専門に治療してきた経験と、医療用サーモグラフィによる体の状態の可視化、そしてSARAスコアなどを用いた経過の確認を組み合わせている点が特徴です。

    〈院長資料待ち:SCA6における「他の鍼灸院と当院はどう違うか」のSCA6特有の具体例〉

    「治す」ではなく、「使える機能を引き出す」

    「治る」「完治する」とお約束することはできません。ですが、「変わらない」「何をしても同じ」というわけでもありません。当院では、今残っている機能をできるだけ長く使い続けていただけるよう、鍼治療とリハビリテーションを組み合わせてご提案しています。

    SCA6に対して当院が実際に行っている検査・鍼治療の内容はSCA6の鍼灸治療で詳しくご紹介しています。変化が起こりうるのかどうかは脊髄小脳変性症は治る確率がある?、実際の患者様の声は患者さんの声もあわせてご覧ください。

  • ご相談ください

    SCA6と診断され、「進行は緩やか」と言われたまま様子を見続けている方、この先どうしていくか探している方は、まずはお気軽にご相談ください。遠方にお住まいの方も、まずはお電話、または24時間受付のメールでご相談いただけます。無料送迎についてもお気軽にお尋ねください。

    ご相談はこちら

  • よくある質問

    SCA6の症状の特徴は?

    中心となる症状は、歩行時のふらつきなどの運動失調です。SCA6は「純粋小脳型」と呼ばれ、下方を見たときに眼が揺れる下眼瞼向き垂直性眼振や、頭を動かしたときのめまい・ふらつきが特徴的とされています。マシャド・ジョセフ病(SCA3)でみられる「びっくり眼」や、目を動かす筋肉の麻痺はSCA6では原則としてみられません。詳しくは本文の「主な症状・特徴」でご紹介しています。

    SCA6は遺伝しますか?

    常染色体優性(顕性)遺伝の形式をとります。ご自身が変化した遺伝子をお持ちの場合、お子さんに受け継がれる可能性についてや、遺伝子検査を受けるべきかどうかは、必ず遺伝カウンセリングを行う医療機関にご相談ください。詳しくは脊髄小脳変性症は遺伝する?もあわせてご覧ください。

    SCA6の余命・進行は?

    SCA6は他の型と比べて進行が比較的緩やかとされていますが、進行の速さやその後の経過には個人差があります。このページで具体的な年数をお示しすることは、かえって誤解につながる恐れがあるため控えており、病型ごとにわかっていることは脊髄小脳変性症の余命と進行で詳しくご紹介しています。

    SCA6に治療法はありますか?

    根本的に進行を止める治療法は、現時点では確立されていません。運動失調に対する薬物療法や、症状ごとの対症療法、リハビリテーションが中心となります。標準治療の概観は脊髄小脳変性症の治療法・最新治療でご紹介しており、当院でも鍼治療とリハビリテーションを組み合わせたご提案を行っています。

    「進行は緩やか」「寿命は通常と同じ」と言われました。何もしなくていいですか?

    進行が緩やかであることと、今何もしなくていいことは、必ずしも同じではありません。体を動かさないでいることによる機能低下は、病気そのものの進行とは別に起こりうるとされています。詳しくは本文の「治療と、様子を見ている方へ」でお伝えしています。

  • 副院長 吉池 美奈子

    私が書きました

    副院長 吉池 美奈子

    実家は宮崎の名門鍼灸院で育つ。

    周囲への配慮に長けた、面倒見の良い二児の母。自らが群発頭痛を経験したことから、神経内科疾患の鍼治療に力を入れている。

    座右の銘は「一番患者さんの役に立つ人間になる」。

  • 参考文献

SCA6の鍼灸外来

お医者様とは違った角度から検査をして鍼治療に活かしています。

SCA6の治療に取り組む 長野県 森上針灸整骨院スタッフ集合写真

西洋医学的に治療法が確立されていないような難病や、保険医療で良くならなかった患者様、お薬の副作用でかえってお体を壊してしまった患者様を専門に治療する鍼灸整骨院です。お医者様とは違った角度から検査をして、鍼治療をしています。初診では十分な時間を取って患者様の問診をするので、お困りのことがあったらご相談ください。