経過観察の他にできることを探している方へ

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SCA31とは

SCA31について説明する鍼灸師|柔道整復師・鍼灸師 吉池 加奈

●更新 2026.07.29

SCA31とは?症状・進行・遺伝と、できること

SCA31について説明するイメージ

数年前にSCA31と診断されたとき、主治医の先生から「この型はかなりゆっくり進みますから、心配しすぎなくて大丈夫です」と言われました。

以前、知人がSCA6と診断されたときにも似た話を聞いていたのですが、私の場合はそれよりもさらにゆっくりだと言われ、正直なところ、それからずっと何もせずに過ごしてきました。このままで本当にいいのか、最近になって少し気になり始めています。

愛知県 S.T.さん

「かなりゆっくり進む」というお話は、SCA31という型についてはおおむね正しいことです。まず、そのことについて正直にお伝えします。

ですが、進行がゆっくりであることと、今このまま何もせず様子を見ていていいことは、必ずしも同じではありません。SCA31は日本人に多くみられる型で、進行や症状の現れ方にはこの型ならではの特徴があります。このページでは、それを逃げずにお伝えしていきます。

柔道整復師・鍼灸師 吉池 加奈

  • SCA31とは

    どんな型か

    SCA31(脊髄小脳失調症31型:Spinocerebellar Ataxia type31)は、小脳、なかでも虫部と呼ばれる部分に病変が限局しやすい型です。

    脊髄小脳変性症という大きな病気のグループのなかの、ひとつの型(サブタイプ)にあたります。脊髄小脳変性症全体については脊髄小脳変性症とはもあわせてご覧ください。

    日本人に多い理由

    SCA31は、世界的に見てもほぼ日本人にしかみられない型で、欧米の方での報告はほとんどありません。これは「創始者効果」と呼ばれる現象によるもので、遠い祖先の代に生じた遺伝子の変化が、その子孫にあたる特定の集団の中で世代を超えて受け継がれてきたためと考えられています。

    頻度と地域による違い(一般的な統計より)

    脊髄小脳変性症のうち、親から子へ遺伝する形式(常染色体優性遺伝)をとるタイプのなかで、SCA31は全国的には4番目に頻度が高い型として報告されています(およそ12.8%)。マシャド・ジョセフ病(SCA3)・SCA6・DRPLA・SCA31の4つの型で、日本の遺伝性の脊髄小脳変性症のおよそ7〜8割を占めるとされています。

    また、医学文献では、長野県や南九州など一部の地域では、この順位が変わり、SCA31がより上位(3番目や最も頻度の高い型)になることがあると報告されています。これは全国的な統計に基づく一般的な疫学データのご紹介であり、当院に通院されている患者様の型の内訳を示すものではありません。

    MRIで見られる特徴

    SCA31では、MRI検査で小脳、特に虫部の上面に限られた萎縮がみられ、脳幹は保たれることが多いという特徴が報告されています。

    ただし、この画像の見え方はSCA6と非常によく似ており、MRIだけで両者を見分けることは難しいとされています。確定のためには遺伝子検査が必要です。当院での検査によって診断を行うものではなく、実際の診断は必ず神経内科などの専門医療機関でお受けください。

  • 主な症状・特徴

    中心となる症状

    最初に現れる症状として最も多いのは、歩行時のふらつきなどの歩行障害で、報告ではおよそ7割の方にみられるとされています。話し方の変化(構音障害)で始まる方も、およそ3割いらっしゃいます。

    SCA6との違い

    SCA31はSCA6と同じく、小脳の症状が中心となる型ですが、いくつかの違いも報告されています。発症する年齢はSCA6よりもやや高齢の傾向があり、SCA6でよくみられる特徴的な眼の揺れ(眼振)は、SCA31では目立たないことが多いとされています。

    また、進行の緩やかさについても、SCA31はSCA6よりもさらに緩やかとされています。具体的な年数やスコアの比較はこのページでは触れませんが、病型ごとの進行の違いについて詳しくは脊髄小脳変性症の余命と進行でご紹介しています。

    聴覚の変化を伴うことがある

    SCA31では、聴こえの変化(難聴)を伴うことがあると報告されています。すべての方に現れるわけではなく、報告される頻度にも幅がありますが、気になる場合は耳鼻咽喉科での相談も選択肢のひとつです。

  • 進行と経過——前半戦・後半戦

    前半戦:自分の足で歩ける時期

    当院で「前半戦」と呼んでいる時期は、自分の足で歩くことができる段階です。足を開いて歩く(ワイドベース歩行)ようになったり、長く話すとろれつが回りにくくなったりといった変化はありますが、日常生活の多くの部分をご自身でこなすことができます。

    後半戦:起き上がり・歩行が難しくなる時期

    「後半戦」は、自力での歩行が難しくなり、歩行器や杖、車椅子が必要になっていく時期です。進行するとベッドで過ごす時間が中心になり、移動に介助が必要になっていきます。

    進行のペースは病型や個人差によって大きく異なります。

    この型は、SCA6よりもさらに緩やかで、発症年齢も高め

    SCA31は、脊髄小脳変性症のなかでも進行がさらに緩やかで、発症する年齢もSCA6よりやや高めという特徴があります。具体的な年数をこのページでお伝えすることは控えますが、この「緩やかさ」こそが、この型と向き合ううえで最も知っておいていただきたいポイントです。

    病型ごとの余命・進行の速さについて詳しく知りたい方は、脊髄小脳変性症の余命と進行で詳しくご紹介しています。

    〈院長資料待ち:SCA31の前半戦・後半戦それぞれについて、院長が実際の臨床で見てきた状態像の実感、および「様子見から治療に切り替えた」実例(匿名化)〉

  • 原因と遺伝

    原因(遺伝子の変化)

    SCA31は、マシャド・ジョセフ病(SCA3)やSCA6とは、遺伝子に起こる変化の仕組みそのものが異なることがわかっています。詳しい分子レベルの説明はこのページでは省きますが、「他の遺伝性の型とは違う仕組みで起こることがわかっている」型だとお考えください。

    遺伝形式(常染色体優性・顕性遺伝)

    この病気は、常染色体優性(顕性)遺伝という形式をとります。ご両親のどちらかがこの遺伝子の変化をお持ちの場合、性別に関わらずお子さんに受け継がれる可能性があります。

    SCA31では、世代を経ても発症年齢が大きく若くなる現象(表現促進現象)は、原則として目立たないとされています。

    ご本人へ——遺伝性の型だからこそ

    SCA31は遺伝性の型のため、ご自身が発症された方は「子どもに遺伝するのではないか」という不安を抱えていらっしゃることが多くあります。

    遺伝子検査を受けるべきかどうか、ご家族にどう伝えるかといったことは、当院で判断できる領域ではなく、必ず遺伝カウンセリングを行っている医療機関にご相談いただきたい部分です。詳しくは脊髄小脳変性症は遺伝する?もあわせてご覧ください。

  • 治療と、様子を見ている方へ

    標準治療の概観

    現時点では、SCA31の神経変性そのものを止める治療法は確立されていません。運動失調に対する薬物療法(タルチレリンなど)や、症状ごとの対症療法、リハビリテーションが治療の中心になります。

    標準治療の詳しい内容は脊髄小脳変性症の治療法・最新治療でご紹介しています。

    「とてもゆっくりだから」と様子を見ている方へ

    SCA31は診察の場で「進行はとてもゆっくりです」と説明されることが多い型です。SCA6よりもさらに緩やかだと聞き、それでいっそう安心して、何年も特に何もせずに過ごしているという方は少なくありません。

    体を動かさないことによる機能低下(廃用症候群)は、病気そのものの進行とは別に、活動量が減ることによって独立して上乗せされていきます。つまり「進行がとてもゆっくり」であることと、「今、体を動かさないでいい」ことは、まったく別の話です。「進行が緩やかだから、今は何もしなくていい」のではなく、「進行が緩やかだからこそ、今動いておく時間が長く残されている」というのが、実際のところだと私たちは考えています。

    お薬が合わない・効果を感じにくい方へ

    運動失調に対する薬物療法は、体質に合わなかったり、効果を感じにくかったりする方もいらっしゃいます。そのような場合にも、リハビリテーションなど、お薬以外にできることは残されています。変化が起こりうるのかどうかを知りたい方は、脊髄小脳変性症は治る確率がある?もあわせてご覧ください。

    〈院長資料待ち:SCA31で「進行はとてもゆっくりと言われて様子を見ていたが、来院して変化があった」実例、および薬が合わず治療を探して来院した実例(匿名化)〉

  • SCA31と鍼治療——当院ができること

    その時期(前半戦・後半戦)に合わせた働きかけ

    SCA31は進行がさらに緩やかな型だからこそ、その時々の体の状態に合わせて、長く続けられる働きかけが大切だと考えています。

    当院では、医療用サーモグラフィを用いて全身の体温分布を撮影し、自律神経の状態や体の左右差などを客観的に可視化しながら、鍼治療とリハビリテーションを組み合わせてご提案しています。これは診断を行うものではなく、あくまで今の体の状態を見える形にするための検査です。

    他の鍼灸院と当院はどう違うか

    SCA31を含む脊髄小脳変性症は、鍼灸院によって経験の差が大きい分野です。当院は40年にわたり脊髄小脳変性症の患者様を専門に治療してきた経験と、医療用サーモグラフィによる体の状態の可視化、そしてSARAスコアなどを用いた経過の確認を組み合わせている点が特徴です。

    〈院長資料待ち:SCA31における「他の鍼灸院と当院はどう違うか」のSCA31特有の具体例〉

    「治す」ではなく、「引き出す」

    「治る」「完治する」とお約束することはできません。ですが、「変わらない」「何をしても同じ」というわけでもありません。当院では、今残っている機能をできるだけ長く使い続けていただけるよう、鍼治療とリハビリテーションを組み合わせてご提案しています。

    SCA31に対して当院が実際に行っている検査・鍼治療の内容はSCA31の鍼灸治療で詳しくご紹介しています。変化が起こりうるのかどうかは脊髄小脳変性症は治る確率がある?、実際の患者様の声は患者さんの声もあわせてご覧ください。

  • ご相談ください

    SCA31と診断され、「進行はとてもゆっくり」と言われたまま様子を見続けている方、この先どうしていくか探している方は、まずはお気軽にご相談ください。遠方にお住まいの方も、まずはお電話、または24時間受付のメールでご相談いただけます。無料送迎についてもお気軽にお尋ねください。

    ご相談はこちら

  • よくある質問

    SCA31の症状の特徴は?

    中心となる症状は、歩行時のふらつきなどの運動失調です。最初に現れる症状として最も多いのは歩行障害で、次いで構音障害(呂律が回りにくくなること)が多いとされています。SCA6と似た純粋小脳型の経過をたどりますが、SCA6でみられる特徴的な眼の揺れ(眼振)は目立たない傾向があるとされ、発症する年齢もSCA6よりやや高めです。詳しくは本文の「主な症状・特徴」でご紹介しています。

    SCA31は遺伝しますか?

    常染色体優性(顕性)遺伝の形式をとります。ご自身が変化した遺伝子をお持ちの場合、お子さんに受け継がれる可能性についてや、遺伝子検査を受けるべきかどうかは、必ず遺伝カウンセリングを行う医療機関にご相談ください。詳しくは脊髄小脳変性症は遺伝する?もあわせてご覧ください。

    SCA31の余命・進行は?

    SCA31は他の型と比べても進行がさらに緩やかとされていますが、その後の経過には個人差があります。このページで具体的な年数をお示しすることは、かえって誤解につながる恐れがあるため控えており、病型ごとにわかっていることは脊髄小脳変性症の余命と進行で詳しくご紹介しています。

    SCA31に治療法はありますか?

    根本的に進行を止める治療法は、現時点では確立されていません。運動失調に対する薬物療法や、症状ごとの対症療法、リハビリテーションが中心となります。標準治療の概観は脊髄小脳変性症の治療法・最新治療でご紹介しており、当院でも鍼治療とリハビリテーションを組み合わせたご提案を行っています。

    「進行はとてもゆっくり」と言われました。何もしなくていいですか?

    進行がゆっくりであることと、今何もしなくていいことは、必ずしも同じではありません。体を動かさないでいることによる機能低下は、病気そのものの進行とは別に起こりうるとされています。詳しくは本文の「治療と、様子を見ている方へ」でお伝えしています。

  • 柔道整復師・鍼灸師 吉池 加奈

    私が書きました

    柔道整復師・鍼灸師 吉池 加奈

    薬に頼らなくとも自然治癒力で症状が改善していくよう、患者様の鍼治療と心のケアに取り組む。

    若干の滑舌の悪さと陽気さで場を和ませるムードメーカー。

    持ち前の好奇心と向上心で、日々新しい治療法を模索している。

  • 参考文献

SCA31の鍼灸外来

お医者様とは違った角度から検査をして鍼治療に活かしています。

SCA31の治療に取り組む 長野県 森上針灸整骨院スタッフ集合写真

西洋医学的に治療法が確立されていないような難病や、保険医療で良くならなかった患者様、お薬の副作用でかえってお体を壊してしまった患者様を専門に治療する鍼灸整骨院です。お医者様とは違った角度から検査をして、鍼治療をしています。初診では十分な時間を取って患者様の問診をするので、お困りのことがあったらご相談ください。