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マシャド・ジョセフ病(SCA3)とは

マシャド・ジョセフ病(SCA3)について説明する鍼灸師|院長 吉池 弘明

●更新 2026.07.29

マシャド・ジョセフ病(SCA3)とは?症状・進行・遺伝と、できること

マシャド・ジョセフ病(SCA3)について説明するイメージ

先日、病院で「マシャド・ジョセフ病」と診断されました。

インターネットで調べると「SCA3」という別の名前も出てきて、最初は同じ病気だとわからず混乱しました。まだ自分の足で歩けていますが、この先どうなっていくのか、そして子どもに遺伝するのではないかということが、正直とても不安です。本当のところを、正直に教えていただけないでしょうか。

埼玉県 K.T.さん

マシャド・ジョセフ病とSCA3が同じ病気だとわかりにくいのは、あなただけではありません。まず、この病気について正直にお伝えします。

マシャド・ジョセフ病(SCA3)は、日本の遺伝性の脊髄小脳変性症のなかで最も頻度が高い型です。発症する年齢や中心となる症状には幅があり、すべての方に当てはまるひとつの答えはありません。ですが、進行には段階があること、そして遺伝性の型だからこそ、ご本人が今、知っておいていただきたいことがあります。このページでは、それを逃げずにお伝えしていきます。

院長 吉池 弘明

  • マシャド・ジョセフ病(SCA3)とは

    どんな病気か

    マシャド・ジョセフ病は、遺伝子の分類上は「脊髄小脳失調症3型(SCA3:Spinocerebellar Ataxia type 3)」と呼ばれる病気です。「マチャド・ジョセフ病」と表記されることもありますが、同じ病気を指しています。

    もともとポルトガル系の家系で報告されたことから病名がつき、その後の遺伝子研究で「SCA3」という番号が対応づけられました。どちらも同じ病気を指す名前で、検索の入口が2つあるだけとお考えください。

    主に小脳と脳幹の神経が徐々に変化していくことで、体のバランスをとる働きや、なめらかに動く働きが少しずつ難しくなっていきます。脊髄小脳変性症という大きな病気のグループのなかの、ひとつの型(サブタイプ)にあたります。

    脊髄小脳変性症全体については脊髄小脳変性症とはもあわせてご覧ください。

    日本で最も多い遺伝性の型

    脊髄小脳変性症のうち、親から子へ遺伝する形式(常染色体優性遺伝)をとるタイプのなかで、マシャド・ジョセフ病(SCA3)は日本国内で最も頻度が高い型として報告されています。国内の複数の医療機関の調査では、遺伝性の脊髄小脳変性症全体のおよそ27〜43%を占めるとされ、世界的に見てもSCA3は最も頻度の高い優性遺伝性の脊髄小脳変性症とされています。一方で、SCA6型やSCA31型(日本に多い型)など、海外に比べて国内で相対的に頻度が高い型もあります。

    MRIで見られる特徴

    マシャド・ジョセフ病(SCA3)では、MRI検査で特徴的な萎縮の見え方が報告されています。脳幹(中脳・橋の被蓋部分や小脳への通り道)と小脳全体、なかでも小脳の虫部と呼ばれる部分の萎縮、そして脳室の一部(第4脳室)が広がる様子が見られることがあります。

    一方で、小脳の表面そのものや、脳幹の下の方にある構造、橋の腹側のふくらみは比較的保たれやすいという特徴も報告されています。

    こうした画像の見え方の違いは、他の型(多系統萎縮症やSCA6型など)との見分けの手がかりとして医療機関で用いられる一般的な知識です。当院での検査によって診断を行うものではありません。実際の診断は、必ず神経内科などの専門医療機関でお受けください。

  • 主な症状・特徴

    中心となる症状

    マシャド・ジョセフ病(SCA3)でも、他の脊髄小脳変性症と同じく、歩行時のふらつきやよろめきが中心となる症状です。手足の動きがぎこちなくなる、細かい動作がしにくくなる、呂律が回りにくくなる(構音障害)といった症状も現れてきます。

    この型に比較的特徴的な症状

    マシャド・ジョセフ病(SCA3)では、運動失調に加えて、この型に比較的特徴的とされる症状が知られています。

    まぶたが上がったように見える「びっくり眼」は、まぶたを開く筋肉の緊張(眼瞼後退)によって起こるとされる見た目の変化です。

    物が二重に見える複視は、眼を動かす筋肉の麻痺や、視線を一定方向に向けたときに眼が細かく揺れる眼振(特に横方向の揺れが多いとされます)などが関わって起こります。

    このほか、手足や首、体幹が突っ張ったり捻じれたりするジストニア、顔や舌が意図せずぴくぴくと動くミオキミー(顔や舌の萎縮を伴うこともあります)、手足のしびれや感覚の鈍さ・筋力低下といった末梢神経の症状も、この型でよくみられる特徴として報告されています。

    病型(I〜III型)による症状の出方の違い

    マシャド・ジョセフ病(SCA3)は、発症する年齢や中心となる症状の組み合わせによって、いくつかの病型に分けられることがあります。10〜30代で発症し手足の突っ張り(痙縮)やジストニアが目立つタイプ、20〜50代で発症し運動失調と眼の症状(びっくり眼・複視・眼振)が中心となる、国内で最も多いとされるタイプ、40〜70代で発症し運動失調と手足のしびれ・筋力低下が中心となるタイプなど、発症年齢によって症状の現れ方に幅があります。全体としては、20〜40代(平均35歳前後)での発症が多いとされています。

  • 進行と経過——前半戦・後半戦

    前半戦:自分の足で歩ける時期

    当院で「前半戦」と呼んでいる時期は、自分の足で歩くことができる段階です。足を開いて歩く(ワイドベース歩行)ようになったり、長く話すとろれつが回りにくくなったり、細かい字が書きにくくなったりといった変化はありますが、日常生活の多くの部分をご自身でこなすことができます。

    後半戦:起き上がり・歩行が難しくなる時期

    「後半戦」は、自力での歩行が難しくなり、歩行器や杖、車椅子が必要になっていく時期です。会話や飲み込みにも徐々に変化が現れます。

    進行するとベッドで過ごす時間が中心になり、移動に介助が必要になっていきます。進行のペースや、この時期にどのような症状が中心になるかは、病型や個人差によって大きく異なります。

    この型は、発症年齢が若く「後半戦」が長くなりやすい

    マシャド・ジョセフ病(SCA3)は、発症年齢が20〜40代と比較的若い時期に集中している型です。進行の速さそのものには個人差が大きく、具体的な年数をこのページでお伝えすることは控えますが、若くして発症することが多いという特徴から、結果として「後半戦」を過ごす期間が長くなりやすい型だといえます。

    だからこそ、後半戦に入ってからではなく、前半戦のうちから、できることを一緒に考えていく意味があると私たちは考えています。病型ごとの余命・進行の速さについて詳しく知りたい方は、脊髄小脳変性症の余命と進行で詳しくご紹介しています。

    〈院長資料待ち:マシャド・ジョセフ病(SCA3)の前半戦・後半戦それぞれについて、院長が実際の臨床で見てきた状態像の実感、および変化の実例(匿名化)〉

  • 原因と遺伝

    原因(遺伝子の変化)

    マシャド・ジョセフ病(SCA3)は、特定の遺伝子の中にある、決まった塩基の並びが本来より長く繰り返される変化(リピート伸長)が原因で起こることがわかっています。この変化によって、神経の中に異常なたんぱく質がたまり、小脳や脳幹を中心に神経の変性が少しずつ進んでいくと考えられています。

    遺伝形式(常染色体優性・顕性遺伝)

    この病気は、常染色体優性(顕性)遺伝という形式をとります。ご両親のどちらかがこの遺伝子の変化をお持ちの場合、性別に関わらずお子さんに受け継がれる可能性があり、変化を受け継いだ場合はほぼ発症するとされています(浸透率がきわめて高い病気です)。

    表現促進現象——世代を追うごとに発症が早まりやすい

    マシャド・ジョセフ病(SCA3)には「表現促進現象」と呼ばれる特徴があり、特にお父様から受け継がれた場合に、次の世代で発症年齢が若くなりやすい傾向が報告されています。これは遺伝子の変化の長さが世代を経るごとに変わりうることに関係しているとされています。

    ご本人へ——遺伝性の型だからこそ

    マシャド・ジョセフ病は遺伝性の型のため、ご自身が発症された方は「子どもに遺伝するのではないか」という不安を抱えていらっしゃることが多くあります。遺伝子検査を受けるべきかどうか、ご家族にどう伝えるかといったことは、当院で判断できる領域ではなく、必ず遺伝カウンセリングを行っている医療機関にご相談いただきたい部分です。断定的な確率や数字だけがひとり歩きして、必要以上に自分を責めてしまうことのないよう、専門家とともに、正確な情報をもとに考えていっていただければと思います。詳しくは脊髄小脳変性症は遺伝する?もあわせてご覧ください。

  • 治療と、様子を見ている方へ

    標準治療の概観

    現時点では、マシャド・ジョセフ病(SCA3)の神経変性そのものを止める治療法は確立されていません。運動失調に対する薬物療法(タルチレリンなど)や、症状ごとの対症療法、リハビリテーションが治療の中心になります。

    標準治療の詳しい内容は脊髄小脳変性症の治療法・最新治療でご紹介しています。

    後半戦が長いからこそ、今できることがあります

    「治療法が確立されていない」と言われると、「何をしても同じ」と感じてしまうかもしれません。ですが、体を動かさないことによる機能低下(廃用症候群)は、病気そのものの進行とは別に、働きかけ次第で防げる部分があるとされています。

    特にこの型は前半戦・後半戦を合わせた罹病期間が長くなりやすいからこそ、早い段階からご自身の体の機能を保つ働きかけを続けておく意味があると、私たちは考えています。

    お薬が合わない・効果を感じにくい方へ

    運動失調に対する薬物療法は、体質に合わなかったり、副作用のために続けられなかったりする方もいらっしゃいます。そのような場合にも、リハビリテーションなど、お薬以外にできることは残されています。変化が起こりうるのかどうかを知りたい方は、脊髄小脳変性症は治る確率がある?もあわせてご覧ください。

    〈院長資料待ち:マシャド・ジョセフ病(SCA3)で、お薬が合わず治療を探して来院した実例(匿名化)〉

  • マシャド・ジョセフ病と鍼治療——当院ができること

    その時期(前半戦・後半戦)に合わせた働きかけ

    マシャド・ジョセフ病(SCA3)は後半戦が長くなりやすい型だからこそ、その時々の体の状態に合わせた働きかけが大切だと考えています。当院では、医療用サーモグラフィを用いて全身の体温分布を撮影し、自律神経の状態や体の左右差などを客観的に可視化しながら、鍼治療とリハビリテーションを組み合わせてご提案しています。これは診断を行うものではなく、あくまで今の体の状態を見える形にするための検査です。

    他の鍼灸院と当院はどう違うか

    マシャド・ジョセフ病(SCA3)を含む脊髄小脳変性症は、鍼灸院によって経験の差が大きい分野です。当院は40年にわたり脊髄小脳変性症の患者様を専門に治療してきた経験と、医療用サーモグラフィによる体の状態の可視化、そしてSARAスコアなどを用いた経過の確認を組み合わせている点が特徴です。

    〈院長資料待ち:マシャド・ジョセフ病(SCA3)における「他の鍼灸院と当院はどう違うか」のSCA3特有の具体例〉

    「治す」ではなく、「使える機能を引き出す」

    「治る」「完治する」とお約束することはできません。ですが、「変わらない」「何をしても同じ」というわけでもありません。当院では、今残っている機能をできるだけ長く使い続けていただけるよう、鍼治療とリハビリテーションを組み合わせてご提案しています。

    マシャド・ジョセフ病(SCA3)に対して当院が実際に行っている検査・鍼治療の内容はマシャド・ジョセフ病(SCA3)の鍼灸治療で詳しくご紹介しています。変化が起こりうるのかどうかは脊髄小脳変性症は治る確率がある?、実際の患者様の声は患者さんの声もあわせてご覧ください。

  • ご相談ください

    マシャド・ジョセフ病(SCA3)と診断され、この先どうしていくか探している方、様子見の他にできることを探している方は、まずはお気軽にご相談ください。遠方にお住まいの方も、まずはお電話、または24時間受付のメールでご相談いただけます。無料送迎についてもお気軽にお尋ねください。

    ご相談はこちら

  • よくある質問

    マシャド・ジョセフ病とSCA3は同じ病気ですか?

    はい、同じ病気です。マシャド・ジョセフ病(Machado-Joseph Disease/MJD)は、脊髄小脳失調症3型(SCA3)の別名です。ポルトガル系の家系で最初に報告されたことから病名がつき、その後、遺伝子上の分類でSCA3と呼ばれるようになりました。どちらの名前で検索されても、同じ病気を指しています。

    マシャド・ジョセフ病(SCA3)の症状は?

    中心となる症状は、歩行時のふらつきなどの運動失調です。この型に比較的特徴的な症状として、まぶたが上がったように見える「びっくり眼」(眼瞼後退)、物が二重に見える複視、手足や首が突っ張ったり捻じれたりするジストニア、顔や舌のぴくつき(ミオキミー)、手足のしびれなどが挙げられます。発症年齢や中心となる症状には個人差があり、詳しくは本文の「主な症状・特徴」でご紹介しています。

    マシャド・ジョセフ病は遺伝しますか?

    常染色体優性(顕性)遺伝の形式をとります。ご自身が変化した遺伝子をお持ちの場合、お子さんに受け継がれる可能性についてや、世代を追うごとに発症年齢が若くなりやすい「表現促進現象」については、必ず遺伝カウンセリングを行う医療機関にご相談ください。詳しくは脊髄小脳変性症は遺伝する?もあわせてご覧ください。

    マシャド・ジョセフ病(SCA3)の余命は?

    余命や進行の速さは、病型(I〜III型)や発症年齢、そして同じ病型のなかでも個人差によって大きく異なります。このページで具体的な年数をお示しすることは、かえって誤解につながる恐れがあるため控えており、病型ごとにわかっていることは脊髄小脳変性症の余命と進行で詳しくご紹介しています。

    マシャド・ジョセフ病(SCA3)に治療法はありますか?

    根本的に進行を止める治療法は、現時点では確立されていません。運動失調に対する薬物療法や、症状ごとの対症療法、リハビリテーションが中心となります。標準治療の概観は脊髄小脳変性症の治療法・最新治療でご紹介しており、当院でも鍼治療とリハビリテーションを組み合わせたご提案を行っています。

  • 院長 吉池 弘明

    私が書きました

    院長 吉池 弘明

    脊髄小脳変性症の治療経験40年。

    医療用サーモグラフィを独自に導入し、のべ7万2000人の患者さんに鍼灸治療を行ってきた。

    サーモグラフィを用いた神経難病治療を専門に行い、自律神経・ストレス状態をデータから読み解き、患者様ひとりひとりに合わせた治療を提供している。

  • 参考文献

マシャド・ジョセフ病(SCA3)の鍼灸外来

お医者様とは違った角度から検査をして鍼治療に活かしています。

マシャド・ジョセフ病(SCA3)の治療に取り組む 長野県 森上針灸整骨院スタッフ集合写真

西洋医学的に治療法が確立されていないような難病や、保険医療で良くならなかった患者様、お薬の副作用でかえってお体を壊してしまった患者様を専門に治療する鍼灸整骨院です。お医者様とは違った角度から検査をして、鍼治療をしています。初診では十分な時間を取って患者様の問診をするので、お困りのことがあったらご相談ください。