経過観察の他にできることを探している方へ

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MSA(多系統萎縮症)とは

MSA(多系統萎縮症)について説明する鍼灸師|院長 吉池 弘明

●更新 2026.07.30

MSA(多系統萎縮症)とは?症状・進行・遺伝と、できること

MSA(多系統萎縮症)について説明するイメージ

半年ほど前から、母の呂律が回りにくくなったり、急に立ちくらみで倒れそうになったりすることが増えました。近くの病院では最初「しばらく様子を見ましょう」と言われていたのですが、いくつか検査を重ねたのち「多系統萎縮症」という、聞いたことのない病名を告げられました。

インターネットで調べても、脊髄小脳変性症と混同されている情報が多く、家族としてこれからどう受け止め、何をしてあげられるのか、正直なところが知りたいです。

千葉県 F.K.さんのご家族

「様子を見ましょう」と言われてから確定診断がつくまでの間、大きな不安を抱えながら過ごされたことと思います。まず、そのことについて正直にお伝えします。

多系統萎縮症(MSA)は、運動の症状と自律神経の症状がそろって現れるまでに時間がかかりやすく、診断そのものに時間がかかることが少なくない病気です。だからこそ、確定診断を待つ前の段階から知っておいていただきたいことがあります。このページでは、それを逃げずにお伝えしていきます。

院長 吉池 弘明

  • MSA(多系統萎縮症)とは

    どんな型か

    多系統萎縮症(MSA)は、小脳・脳幹・自律神経系など、複数(多系統)の神経の働きが少しずつ変化していく病気です。小脳の症状が中心に現れるタイプと、パーキンソン病に似た症状が中心に現れるタイプがありますが、どちらの場合も、血圧の変動や排尿の変化といった自律神経の症状を伴いやすいことが、この病気の大きな特徴です。

    脊髄小脳変性症という大きな病気のグループのなかで語られることが多い病気ですが、遺伝のしくみなど異なる点も多くあります。詳しくは脊髄小脳変性症とはもあわせてご覧ください。

    別名・分類

    以前は、症状の現れ方によって「線条体黒質変性症」「オリーブ橋小脳萎縮症」「シャイ・ドレーガー症候群」といった別々の病名で呼ばれていましたが、現在はこれらをまとめて「多系統萎縮症(MSA)」と呼びます。小脳の症状が中心のタイプを「MSA-C」、パーキンソン症状が中心のタイプを「MSA-P」と呼び分けることもあり、日本ではMSA-C(小脳型)のタイプが多くを占めると報告されています。

    全体の中での位置づけ

    遺伝性ではない、孤発性の脊髄小脳変性症のなかで、MSAはおよそ3分の2を占めるとされ、決して珍しい型ではありません。指定難病に認定されており、一定の条件を満たす場合に医療費の助成を受けることができます。

  • 主な症状・特徴

    中心となる症状

    中心となる症状は、歩行時のふらつきなどの運動失調、体のこわばりや動作の緩慢さといったパーキンソン症状、そして血圧の変動・排尿の変化・便秘・発汗の異常といった自律神経の症状です。これらがどの順番で、どの程度現れるかには個人差があります。

    自律神経の症状が、運動の症状より先に現れることがある

    男性の場合の勃起機能の変化、排尿の変化、立ちくらみ(起立性低血圧)、脚のむずむずする感覚、夜間の呼吸の変化(いびきの音の変化)といった自律神経の症状は、歩行のふらつきなどの運動の症状よりも、数年、時には10年以上前から現れることがあると報告されています。

    診断がつきにくく、他の病気と言われることも

    運動の症状と自律神経の症状が発症の初期からそろって現れる方は、報告によればごくわずか(およそ1割程度)で、両方がそろうまでに数年かかることも少なくありません。そのため、パーキンソン病や他の脊髄小脳変性症の型と診断されることもあり、正確な診断まで時間がかかるケースが報告されています。

    たとえば、排尿の変化だけを訴えて受診すると、前立腺肥大症など泌尿器の病気だと考えられ、そちらの治療が先に行われることがあります。もちろん、実際に前立腺の病気を併せ持つ方もいらっしゃいます。ですが、「排尿の変化が、神経の病気のごく初期のサインだったかもしれない」と知っておくことは、後になって多系統萎縮症に気づく一つのきっかけになります。

  • 進行と経過——前半戦・後半戦

    前半戦:自分の足で歩ける時期

    当院で「前半戦」と呼んでいる時期は、自分の足で歩くことができる段階です。ふらつきや動作のこわばり、血圧の変動などはありますが、日常生活の多くをご自身でこなすことができます。

    後半戦:起き上がり・歩行が難しくなる時期

    「後半戦」は、自力での歩行が難しくなり、歩行器や車椅子、介助が必要になっていく時期です。

    進行のペースには個人差がありますが、MSAは脊髄小脳変性症のなかでも比較的進行が速い型とされています。具体的な年数については、このページでは触れず脊髄小脳変性症の余命と進行で詳しくご紹介しています。

    診断がつくころには、すでに前半戦の終わりに近いことも

    前述のとおりMSAは診断がつきにくいため、確定診断を受けたときにはすでに前半戦の終わりに近づいている、というケースも少なくありません。だからこそ当院では、確定診断がつく前の段階からご相談いただく意味があると考えています。

    〈院長資料待ち:MSAの前半戦・後半戦それぞれについて、院長が実際の臨床で見てきた状態像の実感、および診断がつく前の段階から相談に来られた実例(匿名化)〉

  • 原因と遺伝

    原因

    MSAは、神経細胞のなかにαシヌクレインというたんぱく質が異常にたまることが、発症に関わっていると考えられています。なぜこの異常な蓄積が起こるのか、根本的な原因はまだわかっていません。

    非遺伝性が基本

    MSAのほとんどは、遺伝によらず、特定の家系に偏らずに発症する「孤発性」の病気です。ご家族に同じ病気の方がいなくても発症しますし、逆にご本人が発症したことで、お子さんやご兄弟に必ず受け継がれるという病気でもありません。

    遺伝性の脊髄小脳変性症との違いについて詳しくは脊髄小脳変性症は遺伝する?もあわせてご覧ください。

    ご本人・ご家族へ

    MSAは、ご本人が症状に気づいて相談にいらっしゃる場合も、ご家族が変化に気づいて一緒に調べ始める場合も、どちらも多い病気です。ご本人おひとりで抱え込まず、ご家族と一緒に今できることを考えていただきたいと思います。

  • 治療と、様子を見ている方へ

    標準治療の概観

    現時点では、MSAの神経変性そのものを止める治療法は確立されていません。血圧の変動・排尿の変化といった自律神経の症状それぞれへの薬物療法、パーキンソン症状への対症療法、リハビリテーションが中心になります。標準治療の詳しい内容は脊髄小脳変性症の治療法・最新治療でご紹介しています。

    「診断がつく前から」できること

    MSAは診断がつきにくい病気だからこそ、確定診断を待つ前の段階から知っておいていただきたいことがあります。

    自律神経の症状は運動の症状よりも先に現れることがあるとお伝えしましたが、この段階で気づけることには、大きく3つの意味があると考えています。

    一つは、先ほどの前立腺の例のように、別の病気だと考えられていた症状が、実は神経の変化のサインだったと気づけることです。

    二つめは、立ちくらみによる転倒や、夜間の呼吸の変化(いびきの音が変わる、息苦しさを感じるなど)といった、体に負担のかかる出来事に備えられることです。夜間の呼吸の変化は軽く見過ごされがちですが、早い段階で気づいて医療機関に相談できれば、検査や対策につなげることができます。

    三つめは、将来、進行を抑える新しい薬が実用化されたときに備えて、今のうちから体の状態を把握しておけることです。

    お薬が合わない・効果を感じにくい方へ

    パーキンソン症状に対するお薬が効きにくかったり、体質に合わなかったりする方もいらっしゃいます。そのような場合にも、リハビリテーションなど、お薬以外にできることは残されています。変化が起こりうるのかどうかを知りたい方は、脊髄小脳変性症は治る確率がある?もあわせてご覧ください。

    〈院長資料待ち:MSAで標準治療・お薬が合わず治療を探して来院した実例、および診断がつく前の段階から相談に来られた実例(匿名化)〉

  • MSAと鍼治療——当院ができること

    その時期に合わせた働きかけ

    MSAは進行が比較的速く、症状の範囲も広い病気だからこそ、確定診断の前後を問わず、その時々の体の状態に合わせた働きかけが大切だと考えています。

    当院では、医療用サーモグラフィを用いて全身の体温分布を撮影し、自律神経の状態や体の左右差などを客観的に可視化しながら、鍼治療とリハビリテーションを組み合わせてご提案しています。これは診断を行うものではなく、あくまで今の体の状態を見える形にするための検査です。

    他の鍼灸院と当院はどう違うか

    MSAを含む脊髄小脳変性症は、鍼灸院によって経験の差が大きい分野です。当院は40年にわたり脊髄小脳変性症の患者様を専門に治療してきた経験と、医療用サーモグラフィによる体の状態の可視化、そしてSARAスコアなどを用いた経過の確認を組み合わせている点が特徴です。

    〈院長資料待ち:MSAにおける「他の鍼灸院と当院はどう違うか」のMSA特有の具体例(診断がつく前の段階からご相談いただいた実例を含む)〉

    「治す」ではなく、「引き出す」

    「治る」「完治する」とお約束することはできません。ですが、「変わらない」「何をしても同じ」というわけでもありません。当院では、今残っている機能をできるだけ長く使い続けていただけるよう、鍼治療とリハビリテーションを組み合わせてご提案しています。

    変化が起こりうるのかどうかは脊髄小脳変性症は治る確率がある?、当院で行っている施術の内容は当院の施術内容、実際にご相談・ご来院いただいている患者様の様子は患者さんの声もあわせてご覧ください。

  • ご相談ください

    MSA(多系統萎縮症)と診断された方はもちろん、まだ診断がついていない段階で症状に不安を感じているご本人・ご家族も、まずはお気軽にご相談ください。遠方にお住まいの方も、まずはお電話、または24時間受付のメールでご相談いただけます。無料送迎についてもお気軽にお尋ねください。

    ご相談はこちら

  • よくある質問

    多系統萎縮症(MSA)と脊髄小脳変性症は同じ病気ですか?

    多系統萎縮症(MSA)は、遺伝しない孤発性の脊髄小脳変性症の一つの型です。脊髄小脳変性症という大きな病気のグループの中に、遺伝性の型と孤発性の型があり、MSAは孤発性の型の中でも多くを占めるとされています。全体の位置づけについては本文の「MSA(多系統萎縮症)とは」でご紹介しています。

    MSAは遺伝しますか?

    MSAのほとんどは遺伝しない孤発性の病気です。ご家族に同じ病気の方がいなくても発症しますし、ご本人が発症したことで、お子さんやご兄弟に必ず受け継がれるという病気でもありません。詳しくは脊髄小脳変性症は遺伝する?もあわせてご覧ください。

    MSAの症状にはどんなものがありますか?

    小脳の症状(歩行時のふらつきなど)、パーキンソン症状(体のこわばりなど)、自律神経の症状(血圧の変動・排尿の変化など)が中心です。自律神経の症状は運動の症状よりも先に現れることがあり、気づくきっかけになることがあります。詳しくは本文の「主な症状・特徴」でご紹介しています。

    MSAの進行や余命はどのくらいですか?

    MSAは脊髄小脳変性症の中でも進行が比較的速い型とされていますが、経過には個人差があります。このページで具体的な年数をお示しすることは、かえって誤解につながる恐れがあるため控えており、詳しくは脊髄小脳変性症の余命と進行でご紹介しています。

    MSAに治療法はありますか?

    根本的に進行を止める治療法は、現時点では確立されていません。自律神経の症状やパーキンソン症状それぞれへの対症療法とリハビリテーションが中心です。標準治療の概観は脊髄小脳変性症の治療法・最新治療でご紹介しており、当院でも鍼治療とリハビリテーションを組み合わせたご提案を行っています。

  • 院長 吉池 弘明

    私が書きました

    院長 吉池 弘明

    脊髄小脳変性症の治療経験40年。

    医療用サーモグラフィを独自に導入し、のべ7万2000人の患者さんに鍼灸治療を行ってきた。

    サーモグラフィを用いた神経難病治療を専門に行い、自律神経・ストレス状態をデータから読み解き、患者様ひとりひとりに合わせた治療を提供している。

  • 参考文献

MSA(多系統萎縮症)の鍼灸外来

お医者様とは違った角度から検査をして鍼治療に活かしています。

MSA(多系統萎縮症)の治療に取り組む 長野県 森上針灸整骨院スタッフ集合写真

西洋医学的に治療法が確立されていないような難病や、保険医療で良くならなかった患者様、お薬の副作用でかえってお体を壊してしまった患者様を専門に治療する鍼灸整骨院です。お医者様とは違った角度から検査をして、鍼治療をしています。初診では十分な時間を取って患者様の問診をするので、お困りのことがあったらご相談ください。